心の指針ルーレット



【霊的でないことの寂しさ】

この世を「全て」だと思って生きている人は、
哀しい。
いな、哀し過ぎる。

豊かすぎる物質の世の、
型にはめ込み過ぎた科学が、
人の心を曇らせる。

そもそも、
「人間は機械ではない。」
というところから出発せねばならぬ。
人間を機械だと思ったら、
それが人の世を惑わせる。

人間を部品の寄せ集めだと思わせないのが、
「情緒」の力である。
「情緒」とは、
夕焼けを見ては、
美しいと思い、
壊れたオモチャを見ては、
今は亡き父を憶い出して、涙する心である。

母の白髪を抜いてあげていた頃の自分を、
取り戻すことである。
子として反抗する心の中に、
近代的自我がある。

自分が霊的でなく生きたことの哀しさは、
後になるほど、
冷や酒の如く効いてくる。

(心の指針141)

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