心の指針ルーレット



【過去と未来の間を生きる】

気がつけば、
背後から壁がせり出してきて、
自分は前にしか進めない。
ところが前方に向かって歩みはじめると、
前からもこちらに壁が押し戻して来る。

人間は永遠に、
過去の壁と、
未来の壁との間にはさまれて、
立ちすくんでいる自分を発見する。

確かに、
過去なくして現在の自分はありえない。
過去の壁が押し出してくれるからこそ、
現在の自分がある。
しかし、
なんと未来の見通しの悪いことか。
目の前の壁にはばまれて、
一歩先すら見えないのだ。

ここで、
ある人は泣き出し、
ある人は笑い出し、
ある人は怒り出し、
ある人は困惑して立ちつくす。

誰も何も教えてはくれない。
なぜ二つの壁にはさまれているのか、
その意味も悟れない。
しかし、結局は、
全員が同じことを始める。
両腕を伸ばして、
前の壁を押し始めるのだ。
一歩進むと、一歩分、
後ろの壁がせり出してくる。

もう何も考えるな。
人間は過去と未来の間を生きるしかないのだ。

(心の指針147)

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