心の指針ルーレット



【言葉に泣く】

思えば、
私の悟りの修練は、
言葉から始まった。
自らの思いの完全なる統制下に、
「言葉」を置くことは難しかった。

愛する人に、愛していると告げることができず、
憎まれ口や皮肉を口走ったことも多かった。
若気の至り、と言いのがれるには、
後悔の方が深かった。

「その一言に泣く」ということが、
何と多かったことだろう。
この自由にならない、
小憎らしい「言葉」に、
何度、自分を責めたことか。

友人や仲間、
道の友、伴侶。
彼らが去っていく後ろ姿を眺めるのは、
とてもつらいものだった。
自分が鉄面皮で、
冷血漢のように思えた。

自分の悟りが、
この世的常識や力に勝てないことに、
悔し涙を流したこともあった。

成功して、有名になってからは、
批判の雨しぶきを浴びることも多くなった。
私の悪口を言い、かつ、書いて、
収入となり、家族が食べていける人が出てきたのか。
それも良かろう。

首筋の雨だれをそっとぬぐって、
サイの角の如く、
森の中を、ただ歩むのみだ。

(心の指針152)

ルーレット回転