心の指針ルーレット



【思い出の中に生きる】

壮年期、
晩年期になると、
髪を梳(くしけず)るように、
親しかった人が身の回りから、
一人、二人、三人と消えていく。
いつかしら、
彼らは思い出の中にしか、
生きていないことに気づく。

かといえば、
いくつになっても、
新しい人との出会いはある。
かつての友人や、
かつての協力者はもういないが、
新しい友人や、
知人、
親しい人ができ、
あるいは、
若い人たちの成長ぶりに、
驚かされることもある。

私の親兄弟にも、
帰天して、
久しい人もいる。
でも時々、
あの時、ああしてくれたな、
こう言ってくれたな、
と思い出しては涙ぐむこともある。

いつかは人は思い出の中だけに生きることになる。
ささやかな新しい思い出を今日も作ろう。
それが生きているということの証だから。

(心の指針168)

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